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社内問い合わせの効率化でコア業務に集中:情シス管理職のための実践ガイド

社内問い合わせの効率化でコア業務に集中:情シス管理職のための実践ガイド
ヘルプデスク

 中堅IT企業の情報システム部門では、日々の社内問い合わせなどのノンコア業務に追われ、本来注力すべきDX推進やコア業務に十分な時間を割けない状況が続いています。
限られた人材で最大の成果を上げるためには、問い合わせ対応の効率化が不可欠です。

 本記事では社内問い合わせ効率化の具体的な手法から、ツール選定、導入手順まで、すぐに実践できる戦略を詳しく解説します。
効率化により生まれた時間をコア業務に投入し、組織の競争力向上を実現する方法をご紹介します。

コア業務、ノンコア業務については、以下の記事もあわせてご覧ください。
「業務改善の鍵を握るノンコア業務とは?効率化のメリットや方法を徹底解説」

  • 社内問い合わせ対応に追われてDX推進などの戦略業務に時間を割けずに悩んでいる方
  • 日々の問い合わせ業務を効率化して業務負荷を軽減したいと考えている方
  • 情報システム部門の生産性向上とコスト最適化を検討している方

1.​​​​中堅IT企業が直面する社内問い合わせの現実と課題

 中堅IT企業の情報システム部門では、社員数の増加とIT化の進展により、問い合わせ件数が年々増加しています。
特に「パソコンが動かない」「システムにログインできない」「新しいツールの使い方が分からない」といった基本的な問い合わせが全体の約7割を占めているという調査結果もあります。
これらの問い合わせ対応に業務の大半を費やしてしまい、DX推進やシステム改善といった付加価値の高い業務に手が回らない状況が続いています。

さらに深刻なのは、特定の担当者だけが対応できる属人化した問い合わせが多く、その担当者が不在の際には業務が停滞してしまうリスクです。

その他の情報システム部門の課題については、以下の記事もあわせてご覧ください。
「情シス(情報システム部門)の課題とは?現状と役立つ解決策を紹介」

2.社内問い合わせが増大する根本原因​

 問い合わせが増大する背景には、構造的な問題が潜んでいます。
 まず、社内システムやツールの導入時に十分な研修や説明が行われていないことが挙げられます。
新システム導入の際、操作方法の周知徹底が不十分だと、運用開始後に大量の問い合わせが発生します。

 次に、過去の問い合わせ履歴や解決方法が体系的に整理されていないことも大きな要因です。
同じような問い合わせが繰り返し発生しても、毎回個別対応している状況では効率化は望めません。

 さらに、問い合わせ窓口が明確でないことも問題です。
「とりあえず情シスに聞けば何とかなる」という認識が社内に浸透していると、本来他部署で対応すべき内容まで情報システム部門に集中してしまいます。

3.​​効率化を実現する6つの戦略的アプローチ​

 社内問い合わせの効率化には、段階的かつ戦略的なアプローチが重要です。
ここでは、即効性のあるものから中長期的な効果が期待できるものまで、6つの戦略を体系的に解説します。

ヘルプデスクの効率化については、以下の記事もあわせてご覧ください。
「ヘルプデスクの効率化・業務改善ガイド!企業の情報システム部門における具体的な方法を解説」

3-1.​​​​問い合わせ内容の分析と可視化

 効率化の第一歩は、現状の問い合わせ内容を詳細に分析することです。
過去3か月分の問い合わせデータを収集し、カテゴリ別に分類します。
「システム操作」「機器トラブル」「アカウント関連」「申請手続き」など、大まかな分類から始めて、さらに細分化していきます。

分析結果をグラフや表で可視化することで、どの分野に問い合わせが集中しているかが明確になります。
この分析により、優先的に対策すべき領域を特定し、効果的な施策を立案できます。

3-2.​​セルフサービス化の推進とFAQシステム構築

 問い合わせの約6割は、適切なFAQがあれば自己解決可能とされています。
効果的なFAQシステムを構築するためには、よくある質問を精選し、分かりやすい回答を作成することが重要です。
FAQの作成では、専門用語を避け、画面キャプチャや手順図を活用して視覚的に理解しやすくします。

 また、検索機能を充実させ、ユーザーが求める情報にすばやくアクセスできる仕組みを整えます。
定期的に利用状況を分析し、使われていないFAQは改善し、新たな問い合わせ傾向に合わせて内容を更新することも欠かせません。

3-3.​​チャットボットによる初期対応の自動化

 チャットボットは、基本的な問い合わせに対して24時間対応可能な強力なツールです。
導入効果を最大化するためには、FAQの内容をベースにしたシナリオ設計が重要です。

 まず、頻出する問い合わせパターンを整理し、対話形式で解決に導くフローを作成します。
ユーザーが迷わないよう、選択肢は3つ以内に絞り、明確で簡潔な表現を心がけます。

 また、チャットボットで解決できない複雑な問い合わせについては、スムーズに人間のオペレーターに引き継げる仕組みを構築します。

3-4.​​問い合わせ管理システムの導入と運用最適化

 従来のメールベースの問い合わせ対応では、進捗管理や優先度付けが困難です。
専用の問い合わせ管理システムを導入することで、チケット管理による効率的な対応が可能になります。

 システム選定では、チケットの自動分類機能、対応履歴の蓄積、レポート機能などを重視します。
また、既存のメールシステムやチャットツールとの連携機能があると、導入時の負担を軽減できます。

 運用面では、問い合わせの優先度を明確に定義し、SLA(サービス品質保証)を設定することで、計画的な対応が可能になります。

3-5.組織的な知識共有体制の構築

 個人の知識に依存した対応から脱却するためには、組織全体で知識を共有する仕組みが必要です。

 まず、問い合わせ対応のナレッジベースを構築し、解決方法や対応手順を体系的にまとめます。
定期的な情報共有会議を開催し、新しい問い合わせパターンや解決方法をチーム全体で共有します。

 また、メンバー間のローテーション制度を導入し、特定の分野に偏らない対応力を育成します。
これにより、属人化を防ぎ、安定した対応品質を維持できます。

3-6.​​外部委託と内製化の戦略的判断

 効率化の手法として、一部業務の外部委託も効果的なアプローチです。
適切な判断により、社内リソースをより戦略的な業務に集中できます。

 外部委託に適した業務は、パスワードリセットやアカウント作成などの定型的な対応、ソフトウェアなどの基本的な操作説明、一般的な機器トラブル対応などです。
これらは手順が標準化されており、機密性も比較的低いため、外部での対応が可能です。

 一方、内製化を維持すべき業務は、セキュリティインシデント対応や自社開発システムのトラブル対応、システム改善提案など、企業固有の知識や迅速な判断が必要な領域です。
判断基準として、月間30件以上の定型問い合わせがあり、対応手順がマニュアル化されている業務は外部委託の対象となります。
コスト面では、社内対応コストが外部委託コストの1.2倍~1.5倍に至る場合は委託を検討します。

 効果的な運用には、外部委託で初期対応を行い、複雑な問題は社内でレベル2対応するハイブリッド型が適しています。
定期的な情報共有とエスカレーション基準の明文化により、両者の連携を円滑にします。

 このような外部委託の活用により、社内の知識共有体制とあわせて包括的な効率化が実現できます。
サン・エム・システムのヘルプデスクサービスでは、定型的なIT問い合わせを専門スタッフが代行することで、情報システム部門がDX推進などの戦略的業務に専念できる体制をサポートしています。
OA環境ヘルプデスクサービス|サン・エム・システム株式会社

4.実践的なツール選定ガイドと導入手順​

 効率化のために導入するツールの選定では、自社の規模や予算、既存システムとの親和性を考慮することが重要です。
中堅企業では、高機能なツールよりも必要な機能に絞った使いやすいツールが適している場合が多くあります。

4-1.​​段階的導入アプローチ

 ツール導入は一度にすべてを変更するのではなく、段階的に進めることが成功のカギです。
例えばチャットボットツールの場合、第一段階では既存のFAQの整理と充実化、第二段階でFAQシステムの導入、第三段階でチャットボットの導入というように、組織の習熟度に合わせて進めます。

各段階で効果測定を行い、問い合わせ件数の減少や対応時間の短縮を数値で確認します。
効果が確認できてから次の段階に進むことで、確実な改善を積み重ねられます。

4-2.導入プロジェクトの管理手法

 効率化プロジェクトを成功させるためには、明確な目標設定と進捗管理が不可欠です。
KPI(重要業績指標)として、問い合わせ件数の削減率、平均対応時間の短縮、自己解決率の向上などを設定します。
月次でKPIを測定し、目標達成度を評価します。予想通りの効果が得られない場合は、原因を分析し、改善策を実施します。
 また、プロジェクトの進捗や成果を経営層に定期的に報告し、継続的な支援を得ることも重要です。

5.ROI最大化と効果測定の実践方法

 効率化投資の効果を定量的に評価することで、継続的な改善とさらなる投資の正当性を示せます。
ROI(投資対効果)の計算では、問い合わせ対応時間の削減により生まれた工数を金額換算し、ツール導入費用と比較します。

5-1.​​効果測定の具体的手法

 効果測定では、導入前後の数値を比較し、改善度を明確にします。
問い合わせ件数、平均対応時間、一人当たりの処理件数、顧客満足度などを継続的に測定します。

 特に重要なのは、削減された対応時間をどのような業務に振り向けたかを記録することです。
DX推進プロジェクトや新システム開発など、付加価値の高い業務に時間を投入できたことを具体的に示すことで、効率化の真の価値を証明できます。

5-2.継続的改善のサイクル確立

 効率化は一度実施して終わりではなく、継続的な改善が必要です。
月次でデータを分析し、新たな問い合わせ傾向や課題を特定します。
ユーザーからのフィードバックも積極的に収集し、システムやプロセスの改善に活用します。

 また、新しいツールや手法が登場した際には、自社への適用可能性を検討し、常に最適な効率化手法を追求する姿勢が重要です。

    6.​​​​まとめ:持続可能な効率化体制の構築に向けて

     社内問い合わせの効率化は、単なるコスト削減ではなく、組織の競争力強化のための戦略的投資です。
    FAQシステムやチャットボットの導入、問い合わせ管理システムの活用、組織的な知識共有体制の構築を段階的に進めることで、確実な効果を得られます。

     重要なのは、効率化により生まれた時間とリソースを、付加価値の高い業務に振り向けることです。
    これにより、情報システム部門が単なるサポート部門から企業成長の推進力となる戦略的組織へと変革できます。

    効率化の取り組みは継続的な改善が前提です。
    定期的な効果測定と改善活動を通じて常に最適な効率化手法を追求し、変化する業務環境に適応していくことが成功のカギとなります。

     情報システム部門の業務効率化には、トータルでサポートする外部サービスの活用も有効です。
    サン・エム・システムでは、ヘルプデスク業務から IT資産管理まで、情報システム部門の負荷軽減に特化したサービスを提供しており、戦略的業務への集中を強力に支援します。
    OA環境ヘルプデスクサービス|サン・エム・システム株式会社


    【この記事を書いた人】
    サン・エム・システムコラム編集部でございます。

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