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バックオフィスDXとは?効果的な進め方と成功のポイントを解説

バックオフィスDXとは?効果的な進め方と成功のポイントを解説
DX

 バックオフィス業務のDX化は、企業の生産性向上やコスト削減を実現するだけでなく、持続的な競争力を築くために不可欠な取り組みです。しかし、「どこから手を付ければよいかわからない」「具体的な進め方が見えない」といった課題を抱える企業も多いのが現状です。本記事では、バックオフィスDXの基本から具体的な推進方法、成功のポイントまで解説します。

  • DXの導入を検討しているが、どこから着手すれば良いか分からない方
  • DX推進を任されているバックオフィス部門の責任者や担当者の方
  • 人手不足や属人化した業務の問題を解決し、組織全体の競争力を高めたい方

1.バックオフィスDXとは?

バックオフィス業務とは、経理、人事、総務といった、企業の管理部門で行われる業務を指します。バックオフィスDXは、これらの業務にデジタル技術を活用し、業務プロセスを抜本的に変革する取り組みです。

1-1.バックオフィスDXの定義と対象業務

 バックオフィスDXでは、従来の紙の書類や表計算ソフトによる管理から、クラウドサービスやRPA(業務自動化)ツールなどのデジタル技術を活用した業務プロセスへと転換を図ります。具体的な対象業務は以下のとおりです。

  • 経理部門:請求書処理、経費精算、財務管理
  • 人事部門:勤怠管理、給与計算、採用管理
  • 総務部門:備品管理、文書管理、社内申請
  • 法務部門:契約書管理、法務相談対応

1-2.バックオフィスDXが注目される背景

 バックオフィスDXが注目される背景には、以下の3つの要因があります。

➢ 深刻化する人手不足

 従来の手作業による業務処理では、増加する業務量に対応が困難になっています。デジタル化による業務効率化は、人手不足解消の有効な解決策です。

➢ 働き方改革の推進

 テレワークなど柔軟な働き方を実現するには、紙の書類に依存した業務プロセスからの脱却が必要です。

➢ 生産性向上の必要性

 業務効率化によるコスト削減と、リソースの最適配分は、企業経営における重要な課題となっています。

このように、バックオフィスDXは単なる業務のデジタル化ではなく、企業の持続的な成長を支える経営戦略の一環として位置づけられています。

日本国内におけるDXの取り組み状況については、以下の記事で詳しく解説しています。
「日本におけるDXの状況とは?事例や成功のポイントも解説」

2.バックオフィスDXで得られる3つのメリット

企業がバックオフィスDXに取り組むことで、業務効率化からワークスタイルの変革まで、様々な効果が期待できます。ここでは主な3つのメリットについて解説します。

2-1.業務効率化と生産性向上

 デジタル技術を活用することで、大幅な業務効率化が実現します。従来、紙の請求書処理に費やしていた時間は、自動化により大幅に削減することが可能です。また、経費精算をデジタル化することで、申請から承認までのプロセスも迅速に完了できます。

さらに、データの自動連携により、手作業による転記ミスを解消できます。システムによる自動チェック機能が働くため、入力時のエラーを未然に防ぎ、業務の正確性が大幅に向上します。

2-2.コスト削減効果

 バックオフィスDXによるコスト削減は、複数の側面から実現します。まず、紙の使用量が減ることで、印刷費用や保管費用、郵送費などの直接的なコストが削減されます。また、業務時間の短縮により人件費の最適化が可能となり、オフィススペースの効率化によって賃料コストの見直しも可能になります。

さらに、データ分析により無駄な支出を可視化し、戦略的なリソース配分が可能になります。定型業務の自動化で創出された時間を、企画や分析など、より付加価値の高い業務へシフトすることで、組織全体の生産性向上にもつながります。

2-3.働き方改革の実現

 デジタル化により、従来の働き方を大きく変革可能です。クラウドサービスの活用により、必要な情報へいつでもどこからでもアクセスできるようになり、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が実現します。

また、承認プロセスのデジタル化により意思決定のスピードが向上し、チャットツールの活用で円滑なコミュニケーションが可能になります。煩雑な作業からの解放により、従業員は企画立案や顧客対応など、より創造的な業務に注力できるようになります。結果として、従業員の業務満足度向上とワークライフバランスの実現につながります。

3.効果的なバックオフィスDX推進の4ステップ

バックオフィスDXを成功に導くためには、計画的な推進が不可欠です。ここでは、効果的な推進のための4つのステップについて解説します。

3-1.Step 1: 現状分析と課題の可視化

 まず着手すべきは、現状の業務プロセスを詳細に分析することです。各部門の業務フローを「誰が」「何を」「どのように」行っているのかを整理し、文書化します。特に注目すべきは、部門をまたぐ業務の流れや、情報伝達の経路です。

この分析により、重複した作業や不必要な承認プロセス、データの手動入力など、非効率な業務が浮き彫りになります。また、部門間でのデータ連携の課題や、属人化している業務なども明確になってきます。

3-2.Step 2: 優先順位の設定

 課題が明確になったら、次は取り組むべき順序を決定します。優先順位の判断基準として重要なのは、投資対効果と実現可能性です。例えば、毎月の経費精算業務は多くの従業員が関わる定型業務であり、デジタル化による効果が測定しやすく、比較的短期間で成果を出しやすい領域です。

このように、早期に効果が見込める業務からスタートすることで、組織全体のDXに対する理解と協力が得やすくなります。小さな成功体験の積み重ねが、より大きな変革への推進力となるでしょう。

3-3.Step 3:適切なツール選定

 優先順位が決まったら、具体的なツールの選定に移ります。選定にあたっては、単なる機能比較だけでなく、以下の観点から総合的に判断することが重要です。

まず、自社の業務規模や特性に合っているかを確認します。次に、既存の基幹システムとの連携が可能かどうかを検討します。さらに、将来的な業務拡大や新しい機能の追加にも対応できる拡張性も重要な判断基準です。

DX推進に役立つツールについては、次の記事で詳しく解説しています。
「DX推進に役立つツールを紹介!選定のポイントも解説」

3-4.Step 4: 効果測定とPDCA

 導入後は、設定した目標に対する効果を定期的に測定します。例えば、業務処理時間の短縮率や、エラー発生率の減少、コスト削減額など、具体的な数値で効果を把握します。

効果測定の結果、期待した成果が得られない場合は、その原因を分析し、必要な改善を行います。ツールの使い方の見直しや、新たな機能の追加、あるいは運用ルールの調整など、状況に応じた対応を検討しましょう。

この一連のサイクルを継続的に回すことで、バックオフィスDXの効果を最大限に引き出すことができます。

4.バックオフィスDX推進における5つの課題と対策

バックオフィスDXを進める上で、多くの企業が直面する課題があります。これらの課題に対しては、社内での取り組みを基本としながら、必要に応じて外部の知見も取り入れることで、より効果的な解決が可能です。

4-1.社内人材の不足

 DX推進に必要なIT知識や変革マネジメントのスキルを持つ人材の確保は、多くの企業にとって大きな課題となっています。社内での人材育成は重要ですが、即効性という観点では限界があります。

この課題に対しては、社内人材の段階的な育成と、外部専門家の支援を組み合わせたアプローチが効果的です。社内でDX推進チームを立ち上げ、外部の知見も取り入れながら、着実に推進体制を整えていきます。

4-2.現状把握の難しさ

 長年続いてきた業務プロセスは、部門ごとの独自のやり方や担当者の暗黙知が積み重なり、非常に複雑化しています。まずは各部門の担当者を集めたワークショップなどで、業務の流れを整理することから始めます。

しかし、社内だけでは気づきにくい非効率な部分もあります。そこで、他社での改善事例を知る専門家の視点を取り入れることで、より効果的な課題の特定が可能になります。

4-3.ツール選定の複雑さ

 バックオフィス向けのデジタルツールは数多く存在し、その選定は容易ではありません。選定にあたっては、自社の業務特性や規模、予算、既存システムとの親和性など、様々な要素を考慮する必要があります。

まずは社内で明確な選定基準を設定し、候補となるツールを絞り込みます。その上で、導入実績のある専門家の意見を参考にすることで、より確実な選定が可能になります。

4-4.従業員の抵抗感

 新しい業務プロセスやツールの導入に対して、従業員が不安や抵抗を感じるのは自然な反応です。この課題を解決するには、まず経営層からの明確なメッセージと、現場の声に耳を傾ける姿勢が重要です。

その上で、段階的な導入計画と十分な研修期間を設けることで、従業員の不安を軽減できます。他社での成功事例を知る専門家のアドバイスも、従業員の理解促進に役立ちます。

4-5.投資対効果の不安

 DX推進には一定の投資が必要となりますが、その効果を事前に正確に予測することは困難です。この課題に対しては、まず小規模なプロジェクトでの効果測定を行い、その結果を基に段階的に展開を広げていく方法が有効です。

また、業界の動向や他社の成功事例を知る専門家の知見を参考にすることで、より適切な投資判断が可能になります。

5.バックオフィスDXを成功させるための実践ポイント

効果的な推進には、以下の実践ポイントを押さえることが重要です。

5-1.戦略的なスモールスタートの徹底

 全社的な改革を一度に行うのではなく、戦略的な段階を踏んで進めることが重要です。まずは、効果が測定しやすく、成功確率の高い業務領域を選定します。その領域での成功事例を基に、組織全体の変革への機運を高め、段階的に対象領域を拡大していきます。

5-2.経営層のコミットメント

 バックオフィスDXは、経営戦略の重要な柱として位置づける必要があります。経営層には、明確な変革のビジョンを示し、継続的な支援を行うことが求められます。投資判断の根拠となる定量的な効果予測や、中長期的な競争力強化のシナリオを示すことで、全社一丸となった取り組みを実現できます。

社内でのDX推進計画については、以下の記事で詳しく解説しています。
「DX推進計画とは?企業が着実な変革にいたるための進め方とポイントを解説」

6.バックオフィスDX推進を成功に導くために

バックオフィスDXの成功には、業務の可視化から始まり、適切なツール選定、段階的な導入、そして効果測定までの計画的な実行が不可欠です。特に推進初期では、経験豊富な専門家のサポートを受けることで、多くの企業が陥りやすい課題を回避し、確実な成果につなげることができます。

 サン・エム・システムのDXアドバイザーサービスは、豊富な支援実績をもとに、企業のDX推進をトータルでサポート。IT助言・提言サービスから、現状把握、戦略策定、システム化支援、人材育成まで、各社の課題に応じた包括的なソリューションを提供しています。自社のDXと働き方改革の推進をお考えの皆様は、お気軽にサン・エム・システムへご相談ください。

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【この記事を書いた人】
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