ブログ SUNM Tech & Business Blog

⌚ 2024/2/ 9 (Fri) 🔄 2024/3/20 (Wed)

スクラッチ開発とパッケージ開発を徹底比較!違いやメリットについて解説

スクラッチ開発とパッケージ開発を徹底比較!違いやメリットについて解説
DX

DXを進める企業のなかには、システムの導入を進めるうえで、スクラッチ開発とパッケージ開発のどちらを採用すべきか悩んでいる担当者もいるのではないでしょうか。
これらふたつの開発手法は、独自性の高さやコスト面、導入までの期間などのさまざまな面で違いがあります。
 

本記事では、スクラッチ開発とパッケージ開発の概要やメリット・デメリット、それぞれに適したケースについて紹介します。自社での開発方法を検討するための判断材料としていただければ幸いです。 

  • 新規システムを導入したい企業の方
  • スクラッチとパッケージの違いを理解したい方 
  • 自社に合った開発手法を検討中の方

1.スクラッチ開発とパッケージ開発の概要

システムの開発手法には、スクラッチ開発パッケージ開発の2種類があります。まずは、双方の概要について解説します。

1-1.スクラッチ開発とは

 スクラッチ開発とは、既存のテンプレートやパッケージを使用せず、ソフトウェアやシステムを一から構築する開発手法です。「from  scratch(スクラッチ)」は「最初から」という意味で、主に既存システムには存在しない独自の機能を組み込む際に活用されます。代表的な例としては、マイナンバーカードの基幹システムが挙げられます。

「スクラッチ開発」には「フルスクラッチ開発」という表現も存在します。どちらもほぼ同義ですが、スクラッチ開発では一部のテンプレートを流用する場合があるため、テンプレートやフレームワークを一切使用せずに開発を行う手法を強調して「フルスクラッチ開発」と呼ぶことがあります。

スクラッチ開発は独自性を重視するプロジェクトに適していますが、一方で時間や予算に制約があることが課題です。

1-2.パッケージ開発とは

 パッケージ開発は、既存のシステムやアプリケーションの機能を用いて、自社の要件に合わせて調整を行う開発手法です。「パッケージ」は多くのユーザー向けに製作された既成品のソフトウェアを指し、必要な機能が最初から備わっています。

パッケージを利用することで、低コストかつ迅速な実装が可能な点が特徴です。技術者が不在でも手軽に導入・利用できるパッケージもあります。ただし、あくまで一般的な要件に合わせて作成されているため、業務フローをシステムに合わせる必要が生じることもあります。

2.スクラッチ開発のメリット・デメリット

一から構築を行うスクラッチ開発には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 メリット1:独自性が高い

 スクラッチ開発の最大のメリットは、独自性の高いシステムを構築できる点です。
パッケージ開発では似かよったシステムになる懸念がありますが、スクラッチ開発では一から自社の業務フローに合わせたシステムを構築できるため、独自性の高いアプリケーションを開発できます。これにより、他社との差別化を図り、市場競争力を向上させることが期待できます。

 メリット2:長期的に利用できる

 スクラッチ開発は、長期にわたって利用が可能です。パッケージ開発では、サービスの提供終了サポート打ち切りなどによりシステムが終了するリスクがありますが、スクラッチ開発ではそのような心配がありません。

 デメリット1:開発期間が長い

 スクラッチ開発のデメリットには、開発期間が長いことが挙げられます。

オーダーメイドで一から設計や開発を進めるため、通常半年から数年の期間が必要です。
この長い開発期間により、ビジネス環境や業務プロセスが変化するリスクが生じ、当初の要件と実際の業務の実態との乖離が懸念されます。
特に、現代の迅速なビジネス環境においては、スピード感が求められる分野での採用が難しくなります。  

ただし、アジャイル開発手法を用いることで、ビジネス環境に柔軟に対応することが可能です。アジャイル開発手法なら、開発プロセスにおいて仕様や要件の変更が生じた場合でも早期に修正できます。また、新機能の実装や改善を継続的に行う場合にも向いています。

 デメリット2:初期費用が高くなりやすい

 もうひとつのデメリットは、初期費用が高くなりやすいことです。開発期間が長くかかるため、それに伴ってコストも増加します。特にスクラッチ開発のノウハウを持つシニアエンジニアの任命や、ビジネスコンサルタントの関与が必要な場合は、単価が上昇しやすくなります。

3.パッケージ開発のメリット・デメリット

既存のシステムを利用して構築を行うパッケージ開発についてのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

 メリット1:初期費用が抑えられる

 パッケージ開発のメリットのひとつは、初期費用を抑えられることです。

スクラッチ開発には高額なコストがかかりますが、パッケージ開発は既存のシステムを利用して構築するため、開発にかかる費用を削減できます。多くのパッケージではオプション追加カスタマイズが可能であり、これらに追加費用が発生しても、スクラッチ開発と比較すると格段に費用を抑えることができます。

 メリット2:短期間で構築できる

 パッケージ開発では、短期間での構築が可能です。パッケージはすでに開発とテストが完了しているため、すぐに導入でき、特定のニーズに合わせたカスタマイズや調整も短時間で行えます。また、開発期間が短いため、市場の変化や法令の変更などにも素早く対応できます。

 デメリット1:独自のシステム開発はできない

パッケージ開発の主なデメリットは、完全独自の開発ができないことです。サイトやシステムに細部まで独自性を求める場合、パッケージでのカスタマイズには限界があります。ただし、カスタマイズ機能を使用して追加や拡張開発を行うことで、一定の独自性を持たせることは可能です。

 デメリット2:業務フローをシステムに合わせる必要がある

 パッケージ開発では、業務フローをシステムに合わせる必要があります。
既存のシステムは、特定の業務フローに合わせて構築されています。パッケージの業務フローが自社の業務フローと異なる場合には、パッケージに合わせて自社の業務フローを調整しなければなりません。利用者の混乱を招いたり、慣れるまでに時間がかかったりすることが懸念されます。

4.スクラッチ開発、パッケージ開発それぞれに適したケース

スクラッチ開発、パッケージ開発はそれぞれ、どのような場合に適しているのでしょうか。

スクラッチ開発は、以下のような場合に適しているといえます。

 完全独自のシステムを使いたい場合

 完全独自のシステムを使いたい場合には、スクラッチ開発が適しています。スクラッチ開発は一からシステム開発を行うため、独自性をとことん追求できます。

 パッケージのシステム費用が高額になる場合

 パッケージのオプション追加やカスタマイズが必要となる場合や、複数のパッケージを組み合わせる必要がある場合には、パッケージ開発でも費用が高額になる可能性があります。また、初期費用は抑えられるものの、ランニングコストがかさむ傾向がある点にも注意が必要です。そのため、長期的に考えた場合、スクラッチ開発のほうが適している場合もあるでしょう 

一方で、パッケージ開発は以下のようなケースに適しています。

 開発費用をできるだけ抑えたい場合

 開発費用をできるだけ抑えたい場合にはパッケージ開発が適しています。既存のシステムを利用することで、開発にかかる費用を大幅に抑えることができます。

 システムやアプリケーションを早く導入したい場合

 市場の変化に合わせた迅速な対応が求められるビジネスでは、システムやアプリケーションをすぐに導入することが重要です。パッケージ開発はそういった場合に最適な手法です。

5.導入時の注意点

 スクラッチ開発やパッケージ開発を導入する際、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。ここでは、それぞれの導入時の注意点を紹介します。

5-1.スクラッチ開発導入時の注意点

 スクラッチ開発はパッケージ開発に比べ開発期間が長く、コストも高いですが、プロジェクトの規模や要件によっては期間やコストがさらにかさむ可能性があります。期間が長くなるほど、変化するビジネス環境に適応しづらくなるでしょう。

十分な要件定義が行われていないと、あとの修正や変更が難しくなります。開発前にしっかりと要件定義を行い、
開発にかかる期間や予算を明確にしておきましょう。

また、自社で期間や予算を明確にすることが難しい場合は、コンサルの利用を検討してみましょう。
DXコンサルについては下記記事にて詳しく説明しております。

DXコンサルとは?役割や仕事内容、依頼するメリット・デメリットを解説

5-2.パッケージ開発導入時の注意点

パッケージのカスタマイズによって、導入・保守コストが増大する可能性や、不具合を引き起こすリスクが高まります。事前に費用感を把握し、場合によってはスクラッチ開発に変更することも検討しましょう。

また、導入するシステムが業務プロセスにどの程度適応、または乖離しているかを測る「Fit&Gap分析(フィット&ギャップ分析)」をベンダー任せにしてしまうと、正確な分析が難しくなります。ベンダーは自社の業務を熟知しているわけではないため、 Fit&Gap分析が不十分なまま導入し、本来の業務フローを大幅に変更すると、効率の低下や従業員の抵抗感が生まれ、「使われないシステム」となってしまう可能性があります。

また、受注業務にパッケージシステムを導入する際には、クレームや受注減につながらないよう、クライアントにどのような影響をもたらすのかを精査することも重要です。

6.まとめ:自社に合った手法で開発を行おう

 スクラッチ開発は、完全独自のシステムを開発する方法です。独自性が高く長期的に利用できる反面、費用が高く、開発期間も長くなるというデメリットがあります。

パッケージ開発は、すでにあるシステムを自社の要件に合わせてカスタマイズする開発方法です。費用を抑えて短期間で構築できる反面、完全独自のシステム開発はできず、システムに合わせて業務フローを変更する必要があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のニーズや予算に合わせて開発手法を選択することが重要です。

サン・エム・システムでは、DXに関するお悩みに寄り添う伴走型のDXアドバイザーサービスを提供しています。ツール・ベンダーの選定のご相談なども承りますので、システム導入に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

経営ミッションを実現する"伴走型"DXアドバイザーサービス

【この記事を書いた人】
サン・エム・システムコラム編集部でございます。

問い合わせ

お申し込みはこちら.png

サン・エム・システム サービス

詳しくはこちら(OneStopCloud).png 詳しくはこちら(PowerApps).png 詳しくはこちら(power-automate-desktop).png 詳しくはこちら(Inc-Resu).png