エニアグラム性格診断とは?企業において注目される背景と活用方法を解説


エニアグラム性格診断とは?企業において注目される背景と活用方法を解説

近年、企業においては組織力を高めるために、従業員一人ひとりについての分析に取り組む傾向が見られます。さまざまなツールが活用されていますが、エニアグラム性格診断もそのひとつです。エニアグラム性格診断では、性格を9つのパターンに分類し、強みや課題を明確化します。内面を深く知ることができ、働きがい向上や能力の開発、他者との関係性構築などの幅広い活用方法があります。今回はエニアグラム性格診断が企業にもたらすメリットや、活用の方法について解説します。

  1. エニアグラム性格診断とは
    1. エニアグラム性格診断の概要
    2. エニアグラム性格診断でわかることは?
  2. 企業でエニアグラム性格診断が注目される背景
  3. エニアグラム性格診断の活用例
    1. コミュニケーション
    2. 採用活動
    3. 人材配置
    4. 人材育成
  4. エニアグラム性格診断の活用の注意点
  5. まとめ:エニアグラム性格診断を企業活動の充実に役立てる

1.エニアグラム性格診断とは

はじめにエニアグラム性格診断とは何か、概要と活用することでわかることについて解説します。

1.1.エニアグラム性格診断の概要 

エニアグラム性格診断は、個々の人々の性格や行動の傾向を理解するためのツールです。ことばの由来となったエニアグラムはギリシャ語の「9つのポイント」を意味し、円周上の9つの点と線から成る幾何学的図形で、万物の本質を表す象徴として用いられてきました。

エニアグラム性格診断は、こうした古代の宗教的・哲学的な伝統にもとづいており、個人の性格を9つの異なる基本的なタイプに分類し、特徴づける方法です。

各タイプは特定の特徴や傾向を持ち、個人の思考パターン、感情、行動に影響を与えるとされます。

ビジネスにおいては、エニアグラム性格診断によって自己理解を深める他者との関係性の向上に役立てるといった目的で活用されています。

1.2.エニアグラム性格診断でわかることは? 

エニアグラム性格診断を行うことにより、9つに分類されるタイプのいずれに近い性格かがわかります。

エニアグラム性格診断の9つの性格は以下に分類されます。

  • 完璧主義者:完璧主義・理想主義的な傾向があり、責任感が強い。
  • 援助者:献身的、博愛主義的で、協力的で思いやりがあり、他者を気にかける。
  • 達成者・野心家:成果や成功に意欲的で、競争心が強い傾向がある。
  • 芸術家: 創造性が高く、ロマンチスト。感受性が豊かで情熱的な傾向がある。
  • 観察者:分析的で知識を追求し、独立心が強い学者、研究者タイプ。
  • 堅実家:ルール、規則に対して忠実であり人に対して誠実。信頼性や安全性を重視する傾向がある。
  • 楽天家:新しい経験や刺激を求め、好奇心旺盛なタイプ。
  • 統率者: 自己主張が強く、力強いリーダーシップを発揮する傾向がある。決断力に優れる。
  • 調停者: 和解と調和を大切にし、穏やかで適応力がある。

エニアグラム性格診断でわかるのは、どんな性格や傾向があるのか、またどんな考え・価値観を持っているのかといった点です。そこからビジネスパーソンとしての強みや弱み、組織のなかで適している役割などを導き出すことができます。

2.企業でエニアグラム性格診断が注目される背景 

近年、多くの企業がエニアグラム性格診断を取り入れていますが、その背景としては以下のような状況があります。

組織力の強化

最近の働き方や雇用形態の多様化によって、企業内での結びつきを強める機会が以前と比べて少なくなっている傾向が見られます。出社時間や就業時間が人によって異なったり、出社せずにリモートワークで働いたりする従業員も多くなってきています。そうしたなかで従業員エンゲージメントを深めていくためには、個々についての理解が必要です。性格をより知ることができれば、企業としてのアプローチの仕方がわかりやすくなり、関係性の構築が容易になります。

労務環境の改善

エニアグラム性格診断を応用することで、企業と従業員の信頼関係を強化しながら、各従業員の労務環境に配慮できるようになります。例えば、チームで働くことが得意な人材、静かな環境を好む人材といった性格がわかれば、人事やコミュニケーションの参考となり、各人のパフォーマンス向上につなげられます。

適材適所の必要性

上記にも通じますが、社内人材の適正配置に役立てることも可能です。人材不足が深刻化する今、エニアグラム性格診断で得られた情報は、社内の人的リソースを最大限に活用する手がかりとなります。個人の強みや弱みを活かした業務やプロジェクトへの参加を促すことで、従業員本人にとっても、また組織としても好ましい成果が期待できるでしょう。

モチベーションアップ

自己理解を深めることで強みと克服すべき課題を見出し、従業員自らのやる気につなげられます。従業員のなかには、努力していても思うような結果が出せず悩んでいるケースもあるでしょう。エニアグラム性格診断により自身の傾向が可視化されることで、進むべき方向性を見出せる可能性が広がります。

育成・能力開発

性格や向き・不向きがわかれば、各従業員の特性に合わせた育成方法を検討できます。強みや能力を伸ばし、着実なスキルアップにつなげられるようになります。

3.エニアグラム性格診断の活用例 

エニアグラム性格診断が具体的にどのようなシーンで活用できるのか、例をあげて紹介します。

3.1.コミュニケーション 

チーム内でエニアグラムタイプの違いを提示し、お互いに理解することで、適合するコミュニケーションスタイルを考えることが可能です。自分の行動についての気づきが得られ、異なるタイプの人々とのコミュニケーションに適したアプローチが可能になります。

チームメンバー同士でエニアグラムの原則を理解すれば、相互的な協力と理解が促されるでしょう。

3.2.採用活動 

採用プロセスで候補者にエニアグラム性格診断を提供すると、応募者のタイプを特定できます。

結果からわかったタイプと求められるポジションの適合度を考慮し、最適な候補者を選定することが可能です。例えば、チーム人材を求める場合、共感的なエニアグラムタイプの候補者を優先的に選択といった判断基準が加えられます。

3.3.人材配置 

個人の強みや弱みを考慮することで、効果的なチーム構築が可能です。例えば、統率者タイプの下に援助者タイプを配置するなど、バランスを考慮したチーム作りに役立ちます。

さらに、エニアグラム性格診断を使用して、役割の適性に合わせたフィードバックを提供することで、従業員の職務満足度を高められ、やる気を継続させられます。

3.4.人材育成 

従業員のエニアグラムタイプを理解し、個別の強みと課題を特定します。個別の育成計画を策定し、エニアグラムの指針にもとづいて従業員のスキルやリーダーシップの向上を促進することが可能です。

4.エニアグラム性格診断の活用の注意点 

  • エニアグラム性格診断についての理解を浸透させる
    9つのタイプには優劣がないこと、個々の成長や人間関係の円滑化など前向きな活用が目的であることなどを理解してもらい、診断への協力を依頼する必要があります。

  • 診断結果だけにとらわれない
    エニアグラム性格診断の結果は一般的な性格傾向を示すものであり、すべての人に当てはまるわけではありません。性格は個人差が大きいため、特定のタイプにもとづいて人をステレオタイプ化することは避けるべきです。個人的な特性は、日頃の面談や業務姿勢などの情報を併せ、多角的な面からの判断が必要です。

  • 結果の継続的な評価
    エニアグラムの結果は固定的なものではなく、個人の成長や環境の変化に応じて変化することがあります。定期的に結果を再評価し、新たな洞察を得ることが重要です。

  • 適切なツールの選定
    エニアグラム性格診断には無料のものもありますが、実施において採用する際は、ビジネスに活かせるツールを選ぶべきです。信頼性が高く、自社の事業性との相性を見極めて選定する必要があります。

5.まとめ:エニアグラム性格診断を企業活動の充実に役立てる 

エニアグラム性格診断を適切に活用することで、個々の社員の成長やモチベーションの向上、チームコミュニケーションの円滑化や、従業員エンゲージメント強化につなげられます。各個人の特性を知ることが潜在的な企業力の底上げに役立ち、安定的な企業経営にも貢献します。一方でエニアグラムの適切な活用のためには、診断結果の扱いや個人感情への十分な配慮が求められます。

一人ひとりの従業員に関して正しく理解したいといった組織としての悩みがあるときには、社員と組織のコミュニケーションを改善するエンゲージメント向上ツールを利用するという方法もあります。

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